はい、こんにちは。キザメです。
今回は、
みやびあきのさんの「珈琲をしづかに」
を紹介していきます。
手に取ったきっかけとしては、
「喫茶店」「和服美人」に惹かれたという
何とも締まらない感じなのですが、
読み進めていくうちに
どんどんと引き込まれ、
気づけば大好きな作品となっていました。
そんな「珈琲をしづかに」の好きになった点を
話していければと思っています。
それでは始めていきましょう。
あらすじ
“大人”へのあこがれを抱く高校3年生の波多野貴樹。
古びた喫茶店のカウンターに佇む年上の女性に心奪われた貴樹は、
しづ、と呼ばれる彼女に会うために喫茶ユカリに通い始めるが…!?
本書1巻裏表紙より引用
見どころ
さて、語っていきたいと思うのですが、
冒頭のあいさつでネタ的な感じで「和服美人」と言いましたが、
実際、各巻の表紙…、可愛くないですか?
ちなみにみなさん、どの着物が好きですか?
私は、4巻の青の濃淡に星が描かれたやつが好きですね(*´▽`*)
・
・
・
ゴホンッ(;´▽`A“
気を取り直して、本題へと入っていきましょう!
本編の見どころ
この作品は、
年の離れた兄に憧れ、
自分の身長の低さも相まって
早く大人になりたいと願う高校生の貴樹と、
両親の離婚、その後母親が亡くなり孤独となったところを
喫茶ユカリの前マスターに拾ってもらい、
そのまま働き続けて現マスターとしてお店に立つ紫都香の
2人が中心となって織りなす物語となっています。
最初は、閉店した喫茶店に幽霊が出るという噂を耳にして、
興味半分、珈琲という大人の飲み物への憧れ半分で行ったら、
店の中に紫都香がいて引き寄せられるようにお店に入ってしまい、
その佇まいや所作、表情に一目惚れしてしまうところから物語は動き始めます。
この物語の見どころとしては、
第一にはもちろん、
貴樹のこの片想いは実るのかということに尽きるでしょう。
ただ、個人的に注目して欲しいのは、
貴樹の献身性とでもいうのでしょうか…、
紫都香の事情も深くは知らず、
自分が子供で無力だと思いながらも、
そばに寄り添い話を聞いたり、
時には背中を押してあげたりする姿はかっこよく見えちゃいます。
時には、自分に不利なことであっても、
背中を押しちゃうので、1人でモヤモヤしてたりもしちゃうのですが、
それでも、相手のことを想って行動できるのは素敵なことだなと想ってしまいました。
後に妹の知沙希から「優良物件」との評価も聞かれますが、
実際、貴樹の相手のことを考えて動ける力は魅力的だと思います。
まあ、本人にその自覚はないんですけどね(-_-;)
もう一つの見どころとしては、
紫都香のオリジナルブレンドづくりの行方です。
紫都香は先に書いたように両親が離婚していて、
その原因が家庭内暴力だったこともあって、
「好き」という気持ちがわからないまま成長してきていたことと、
母親の死と前マスターが交通事故で店に立てない状態になったこともあり、
ある意味トラウマのような感じで
物や関係性、前マスターが築いてきた店の雰囲気や味など
いろんな物が壊れることを怖がるようになっていて、
過去に縛られているような状態でした。
そのため、
守ることに必死で自分独自のブレンドというのも作れずにいます。
ただ、
先にあげた貴樹の後押しもあって
少しずつ自分のブレンド作りに取り組んでいきます。
2人の恋愛模様に付随するものになりますが、
紫都香がどんな組み合わせでブレンドを作るのかは要注目ですね。
正直、ここもキュンとしてしまいますのでお楽しみに♪
珈琲の知識も得られる
喫茶店が舞台の物語ということもありますし、
貴樹自身が珈琲に興味を持って勉強したりしていることもあって、
珈琲に関する知識も多く描かれています。
1,カッピング
カッピングというのは、
いろんな豆を全く同じ条件で抽出して、
技術や腕前関係なく純粋に豆の香味だけを比較する手法です。
本来は豆の評価のために行われるようですが、
作中では、豆をもっと楽しんでもらいたいという趣向で
開かれている会のようです。
こういうのを見ると、
ちゃんと珈琲の味や香りを知って、
そのうえでお気に入りの豆を選んでみたいなと
思ってしまいますね。
作中で登場する橘という大学生は、
「珈琲は彼女」と言い切る独特な人で、
飲んだ珈琲を女性になぞらえて表現するので、
なんだか読んでてておかしくなっちゃいます(´▽`*)
ただ、表現が具体的なので、
意図せず頭にそんな女性が浮かんできてしまうので困りものです(苦笑)
2,珈琲占い
珈琲占いは、
粉を濾過しないでカップの底に沈めて飲む
トルコ珈琲の特徴を利用した占いで、
カップに残った粉の模様で運勢を見るようで、
トルコの伝統文化のようです。
占いを信じる性質ではないのですが、
こういうのを知っていると、
雑談のネタだったり、ちょっとしたレクみたいな感じで
披露できたりしたら、
イカした大人に見えたりするのかななんて思ってみたりしながら
読んでました。
3,珈琲の淹れ方
貴樹を通して、
本格的な珈琲の淹れ方も知ることができますし、
家庭でもできる
苦味なく珈琲を飲む淹れ方なんてのも
知ることができます。
こんな感じで、ラブコメだけでなく
珈琲の知識本としても、有用だったりするので、
そっち目的で手に取るのもまた一興かもしれませんね。
気持ちを掬い上げてくれる言葉がたくさん
この作品は、
様々な登場人物の恋愛観や人間関係、
学生の勉強のモチベーションや部活動の目標設定などなど
背中を押してくれるような言葉や考え方がたくさん出てきます。
正直、記事を書くにあたって、
いいなと思った言葉をメモしていたら、
思いの外たくさんになってしまい、
全部紹介したら、ほぼほぼ内容を網羅してしまいそうだったので、
今回は4つに厳選して紹介します。
両親が結婚したきっかけの話
「他人に見せない自分を見せてくれたのと、
自分も見せても大丈夫と思えたからかしら」
家族団らんの一コマ。恋愛ドラマを見ていたところで、
ふいに知沙希が母に結婚の決め手を聞いた時の答えです。
先生の勉強を通してみていることの話
「受験とかテストで見ているのは半分適正で、
半分は物事の問題解決能力だよ。
『必要なときに必要なことを頑張ることができます』っていう
ひとつの行動力みたいなもの。
勉強ができるから評価するんじゃなくて、
問題があったときに立ちむかえる意欲と思考力と能力。」
カッピングの会で出会った橘という大学生。
彼は有名大学の学生だが、
「したいこととかなくて勉強していたらたまたま(受かった)」
という強者でした。
その時、貴樹が
「なんとなくの勉強ってやる気でなくなったりしませんでしたか」
と聞いたことに対する返答として話してくれた言葉で、
橘も先生からその言葉を言われて、
「なんとなくでも頑張っとけばいいことあるかなぐらいには思えた」
と語っています。
記念日の話
「記念日は思い出の数だけ。
お誕生日じゃなくてもお祝いはたくさんできるよ」
喫茶ユカリの常連のおばあちゃんの言葉。
他人の誕生日は気にするのに、
自分の誕生日は教えない紫都香について、
どうしてだろうと悩む貴樹に、
言ってくれた言葉。
おばあちゃんの家では12月10日は「キャンディの日」としていて、
娘さんが子供の時に初めて棒つきキャンディを食べて
はしゃいでいたことを理由にそうなったそうです。
目標設定の話
「目標を紙に書き出してみたらいいって。
で、達成できるまで続けてもいいし、
特に目標がないなら続けることもない。
目標が持てる何かを新しくやるのもいいんじゃないかって。」
中学に入ってバレー部に入った貴樹は、
背の低さを理由に馬鹿にされたことがあった。
その時に兄が行ってくれた言葉。
ちなみに、このシーンは貴樹の高校最後の試合が終わったあと、
ユカリで鉢合わせた際に行われた会話でした。
この後、改めて目標を書き出してみることにした貴樹は、
「現役合格して告白する」
ということを目標として掲げるのでした。
この話には続きがあって、
時が流れ、2人の距離もはたから見れば
だいぶ近づいているように見えていても、
重要な部分で頼ってもらえないことや、
自分の関われないところで紫都香の心に変化が生じていることに
寂しさを感じていた貴樹は、
改めて目標を書き出したメモに向き合います。
「この言葉は告白しても大丈夫だって、
ただ自分になにかしらの資格みたいなものが欲しかっただけ。
受験が終わっても急に大人になるわけじゃないし、
8年の差も、店主と客っていう関係も
何も変わらないのはもうわかっているから。
まず、今、自分が子供だからって、自分じゃダメだって、
そうやって言い訳するのをやめよう。」
こう決意して、目標を書き直します。
現役合格して
しづかさんに告白
↓
何のため?
つきあいたい?
↓
もっとちゃんと話がしたい
話してもらえる相手になりたい
↓
だから、告白する
なんだか、この気持ちの具象化の作業は、
自分の気持ちをひとつひとつ紐解いていくようで、
思考の整理とか、目標を明確にするとか、
そういうのに有用そうなやり方だなと思い、
ただただ、「なるほどな~」と思ってしまいました。
こんな感じで、前を向く勇気をくれそうな言葉が
たくさん出てきます。
たぶん私が惹かれた理由もわかってくれるんじゃないかなと思います。
おまけの情報
最終巻である5巻のあとがきで作者の方も書いているので
大丈夫だとは思うのですが、
5巻のカバーをめくると…。
ニヤケが止まらなくなると思います(*´▽`*)
ぜひ、最後まで読んだうえで、ご覧になってください。
終わりに
ここまで、
みやびあきのさんの「珈琲をしづかに」
を紹介してきましたが、
いかがでしたでしょうか?
好きな作品過ぎて、
危うく物語をただただ全部話すだけになりそうでした。
最後の貴樹の目標の話ではないですが、
「好き」を紐解いていく作業は、
それはそれで楽しい時間でした。
またさらに好きになれたと思います。
そのことが伝わればいいな。
また、みやびあきのさんの新作である
『靴の向くまま』という作品について
こちら↓の記事で語っています。
まだ1巻だけ(2023年4月22日時点)ではありますが、
キザメ的にはドストライクな作品です。
記事と併せてこちらの新作の方も
読んでみてくださいね。
私キザメはこのブログの他に
Twitterでも、
新刊の購入・読了ツイートやブログの更新ツイート
をあげたりしているので、
よかったらフォローしてください(*´∇`*)
Tweets by kizame2727今回はここまで!
ありがとうございました。
コメント