はい、こんにちは。キザメです。
今回は、
宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」
を紹介していきます。
この作品のメインのお話ともいえる
「ありがとう西武大津店」は
『女による女のためのR-18文学賞』で
三冠を獲得した作品です。
私は、
YouTubeチャンネル「ほんタメ」で
取り上げられたのを機に
この『女による女のためのR-18文学賞』
の存在を知りました。
そこで、
名だたる女性作家がこの賞を通ってデビューしていることを知りましたし、
その中で、動画公開年のこの賞は
「ありがとう西武大津店」が大賞を含む三冠を獲得したということを知ったわけです。
読みたいなと思っていましたが、
特に出版されたという話も聞かなかったので、
そのまま記憶の底に沈んでしまっていました。
そんな中、
今年に入りTwitterで流れてくる読了ツイートを見ていたところ、
この「成瀬は天下を取りにいく」の存在を知り、
本屋で手に取ってみました。
目次を見ると、
見覚えのある「ありがとう西武大津店」
の文字が…!
これはあの動画の作品か!
と気づき、即購入。
読んでみて、
三冠取ったのも納得の面白さでしたので
紹介させていただきます。
追記)
また、『本屋大賞2024』にも本作はノミネートされましたので、
みなさん要チェックですよ。
それでは始めていきましょう。
あらすじ
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。
Amazon商品紹介ページより引用
各界から絶賛の声続々、いまだかつてない青春小説!
2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。
コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。
M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。
今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
発売前から超話題沸騰! 圧巻のデビュー作。
見どころ
いや~とても地元愛というか滋賀愛に溢れる作品でした。
作者の宮島先生は、
この作品の舞台でもある滋賀県大津市に住んでらっしゃるということで、
この地域が好きなんだな~
というのが成瀬や島崎、他の登場人物たちからも伝わってきました。
この作品の「ありがとう西武大津店」と「階段は走らない」で
描かれている西武大津店の閉店というのは、
実際に2020年8月31日にあった出来事で、
そのことからも地元の方にとっては大きな出来事だったんだな
というのが伝わってきます。
また、
主人公の成瀬あかりとその幼なじみで親友の島崎みゆきは
漫才コンビを組んでM-1の予選に出場する話があるのですが、
そのネタも全文が読めるわけではないですが、
地元ネタがふんだんに盛り込まれていて、
世に大津市や膳所のことを広めたいというような気持ちを感じました。
もちろん、
成瀬&島崎にそのつもりがあるのかは分かりません。
面白く話せるネタが地元トークにしか見出せなかったのかもしれません。
ただ、
作者の方からはその気持ちを感じ取れるなと思いました。
少し登場人物の話もしておきましょう。
主人公の成瀬あかりは、
子供のころから、何でもできてしまう子供で、
かけっこも速ければ、
絵や歌も上手で、字も正確に書くことができました。
ただ、何でもできてしまうが故に
他者を寄せ付けず、
同級生からの無視の対象となり、
孤立してしまった時期がありました。
しかし、成瀬のすごいのは、
そんな周囲の状況は意に介さず、
自分のやりたいこと、極めたいことに邁進してしまうのでした。
結局、この時の周囲が無視する状況も、
「シャボン玉を極める」と取り組んだ結果、
テレビに取り上げられることとなり、
成瀬の周りには人が集まるのでした。
成瀬は、
『大きなことを百個言って、ひとつでも叶えたら、
「あの人すごい」になる。
だから日頃から口に出して種をまいておくことが重要なのだ。』
という思考で行動しており、まさにそれを地で行く人物なのです。
そして、そんな成瀬の目標が
『200歳まで生きる』
なのですが、この物語を読んでいると
ほんとに成し遂げそうな気がしてしてしまいます。
確固たる個を持つ成瀬あかりという女の子に
ぜひ触れてみてください。
そしてもう一人、
島崎みゆきは、成瀬の幼なじみで平凡を自認する女の子です。
成瀬とは同じマンションに住んでおり、
成瀬あかり史を一番間近で見てきたとも自認しており、
これからも見続けていくことを誓っている女の子です。
ただ、だからと言って常にべったりというわけではなく、
振り回されまくっているという訳でもなく、
線を引くとこは引くという
程よい距離感で寄り添っている感じが、
なんか好きですね。
こんな二人を中心にして、展開されています。
この2人で、先にも挙げた
夏休みを西武大津店に捧げてみたり、
『ゼゼカラ』というコンビでM-1の予選に出場してみたりするわけです。
本人たちは、コロナ禍で学校行事が中止となるなかでの
思い出作りの一環としての側面が強かったのだと思うのですが、
結果的にこの二つの出来事を通じて、
地元の「ときめき夏祭り」のMCに抜擢されたり、
最初は西武ライオンズのユニフォームを着ていたのが、
『ゼゼカラ』のユニフォームを作ってもらえたりと、
それだけでは何かを成し遂げたといえるほどの出来事ではなくても、
一生懸命に真摯に取り組むことで何かに繋がっていくんだな
という点が描かれているのもこの作品の素敵なところかなと思っています。
あと、もう一つ語っておきたいのが、
第3話の「階段は走らない」についてです。
この話は、1話と同じ西武大津店の閉店の話が描かれていますが、
視点が、西武大津店と同年代の人の視点で描かれていて、
西武大津店の閉店のニュースを機に小学校の同級生たちと再会し、
そして30年前に喧嘩別れした友達探しが始まったりと、
西武大津店の閉店と相まって、
ノスタルジーな気持ちを呼び起こさせてくれる話となっています。
成瀬あかりという絶対的主人公の言動にワクワクする一方で、
地元への郷愁も感じさせてくれる、
大人にこそ刺さる作品なんじゃないかなと感じました。
私は今年(2023年)で35歳となりますが、
いつになっても、地元の友人や野球部の戦友というのは
会えば当時のことが思い出せる大切な存在だなと思わせてくれます。
コロナも5類へと移行する今年は、
職業柄参加できなかった飲み会にも参加しようかな・・・。
この作品を読んで、強くそう思いました。
みなさんも郷里へ思いを馳せてみませんか?
終わりに
ここまで、
宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」
を紹介してきましたが、
いかがでしたでしょうか?
島崎同様、私も成瀬あかり史を見続けたいなと
思わせてくれる魅力的な人物でしたね。
この記事を書いているのが、GWということもあり、
地元の友人とごはんでも食べに行こうかと考えたりもしましたが、
今年はほぼほぼ仕事が入っていたのであえなく断念しました( ;∀;)
お盆は会えるかな?
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