【新潮文庫の100冊】ルビンの壺が割れた 作品紹介

小説紹介

はい、こんにちは。キザメです。

今年の梅雨はあっという間に過ぎ去り、

暑い時期がやってまいりました。

 

さて、夏と言えば…

始まりましたね!

夏の読書フェア!!

 

角川文庫の「カドブン2022夏フェア

集英社文庫の「ナツイチ

新潮文庫の「新潮文庫の100冊

が、各書店で開かれております。

今年は読みたい作品がたくさんあったので、

ちょこちょこと買っていっております。

その中から今回は、

新潮文庫の100冊より

宿野かほるさんの

ルビンの壺が割れた

を紹介していきます。

 

それでははじめていきましょう。

ルビンの壺が割れた

あらすじ

「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」

—送信した相手は、かつての恋人。

フェイスブックで偶然発見した女性は、大学の演劇部で出会い、

二十八年前、結婚を約束した人だった。

やがて二人の間でぎこちないやりとりがはじまるが、

それは徐々に変容を見せ始め…。

先の読めない展開、

待ち受ける驚きのラスト。

前代未聞の読書体験で話題を呼んだ、衝撃の問題作!

本書裏表紙より引用

感想

この作品は、

フェイスブックのメッセージのやり取りのみ

展開されるお話です。

 

最初は男性からのメッセージで始まります。

内容を読んでいると、

初恋の同級生にでも宛てたものなのかな?と思いつつ、

本人かの特定方法がちょっと引くレベルなのが目につきます。

「あー、こりゃ返事こないよ」

なんて思っていると、何やら不穏な一文が…

そこには二十八年前に亡くなった貴女の顔があったからです。

えっ?どういうこと?

この人死んでるの?

そんな「?」を浮かべたまま読み進めます。

 

次も男性からのメッセージです。

どうやら返信はなかったようです。

内容によると、

前回の二十八年前に亡くなったという言葉は、

本当に相手の女性が亡くなったということではなく、

その年に何かがあり、

彼の中ではいなくなったものとしての認識で書かれた言葉のようです。

その後は関係のあった頃の話や身の上話が書かれるのですが、

どうやら、この二人は

結婚の話があった?

結婚していた?

そんな関係だったようです。

 

この次も男性からです。

はじめてのメッセージから2年が経過しているようです。

なんだか、ここまで来るとすこーし男性が不憫に思えてきますね_:(´ཀ`」 ∠):

どうやら男性は人間ドックで癌の診断が付いたようです。

また、この二人は結婚式の日取りまで決まっていたようですが、

当日に花嫁が現れず、そのまま行方知れずになった

という過去があるようです。

 

ここでようやく、女性から返信が届きます。

どうやら、本人なのか確証が持てず、返信しなかったようで、

3通目の内容で、二人しか知らない会話が記されていたということで、

返信することにしたそうです。

ただ、3通目までで、読者的に色々と「?」な内容が多かったのですが、

女性のメッセージは当たり障りのない内容ばかりで、なんだか違和感が残ります(・・?)

ここからは、相互のやり取りで展開されていきますが、

どうも噛み合わない感じが違和感を強めてきます。

 

170ページほどの短い作品なので、

あまり多くは語れないのでもどかしいのですが、

個人の感想としては、ひっくり返されたというよりは、

色んな違和感が繋がった時の

「そういうことか〜…」

という納得感が強く感じられたなと思いました。

先にも、噛み合わない感じがすると述べましたが、

よくよく考えたら当たり前なんですよね。

結局双方共に主観でしか語ってないんですもんね。

 

私自身、

こういうメッセージのやり取りだけという形式の作品は

読んだことがなかったので、

上記の点も含め新鮮な気持ちで読むことができました。

サラッとでも読み返して見ると、

伏線とまではいかなくても、

色々と散りばめられてるなというのがわかります。

短い作品ですし、舞台がSNSのメッセージというのもあり、

読みやすい作品だなと思いますので、ぜひ読んでみてください。

終わりに

ここまで、「ルビンの壺が割れた」

を紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?

気になってきたんじゃないですか?

なお、【ルビンの壺】というのは

表紙のイラストにもなっている

壺にも見えるし

向かい合っている人にも見える

絵のことを言います。

担当編集の方が巻末の付記で

「新しいメッセージのたびに、読者の頭の中に描かれていた世界が一変します。」

本書、担当編集者による付記より抜粋

と述べています。

実際読んでみると、

ホントに印象が変わってきます。

最初に描いた男女像と最後のそれは

大きく変わるっていることでしょう。

気になった方は是非ご一読ください。

 

また、今夏の読書フェア選出作品ではありませんが、

長江俊和さんの「出版禁止」はオススメの作品で、

記事を書いていますので、

興味のある方はぜひ読んでみてください。

【フェイクドキュメンタリー】あなたはこの結末を思い描けるか⁈【出版禁止】作品紹介
今回は長江俊和さんの「出版禁止」を紹介します。

 

今回はここまで!

ありがとうございました。

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