はい、こんにちは。キザメです。
今回は、五十嵐律人さんの『法廷遊戯』を紹介していきます。
メフィスト賞も受賞された本作ですが、
今回映画化もされるということで、手に取りました。
五十嵐律人さんは現役の弁護士ということですし、
デビュー作にもなる本作は司法修習生の時に書かれたということで、
リアルな描写で法廷の様子が描かれるのかと思い、
ワクワクした心持ちで読みましたが、そんな期待を超えてくる作品でした。
ぜひ、読んでいただきたい!
それでは始めていきましょう。
あらすじ
法律家を目指す学生・久我清義と織本美鈴。ある日を境に、二人の「過去」を知る何者かによる嫌がらせが相次ぐ。これは復讐なのか。秀才の同級生・結城馨の助言で事件は解決すると思いきや、予想外の「死」が訪れるーーー。ミステリー界の話題をさらった、第62回メフィスト賞受賞作。
本書裏表紙より引用
感想
いやーなんだか感想を言葉にするのが難しいのですが、
事件の骨格がはっきりしてくるに従って、
「うわー、そういうことだったのか」とスッキリする感覚を得つつも、
その裏に隠れる、
人の感情や背負った十字架の重さに苦しさもどんどんと増していって、
ページをめくりたい気持ちと
めくっていいのかという気持ちがせめぎ合いながら読み進めました。
この記事のタイトルだけを切り取ると、
主人公である久我清義の友人殺しの罪を着せられた織本美鈴の無実を晴らしていく展開を想像するかと思います。
正直言うと、
大筋はその解釈で合っているのですが、
その背景に潜むものがあまりに重すぎて、
真相を明らかにしてスッキリするかと思いきや…。
読み終えた今となっては、
「悲しき負の連鎖」
が引き起こした悲劇だったな…
といった感じです。
児童養護施設で出会ってからというもの、
ことあるごとにお互いを守るために行動を起こしてきた二人が、
最後の事件を機に道を別つこととなる。
あくまで隠し通すことを選んだ美鈴と
負の連鎖を断ち切ることにした清義…。
最後の裁判長が告げる主文が、
なんとも言えない物悲しさを余韻として残していきました。
この2人のその先が気になりますね。
また、法廷ミステリーということで、
様々な法律用語や裁判に至る流れなどについても、
会話やモノローグで説明が語られているので、
法律関係に疎い私でも理解しつつ読むことができました。
加えて、刑事弁護の難しさというのも骨身にしみましたね。
少しネタバレチックな感じにもなってしまいますが、
今回の事件においては、
美鈴が少なからず情報を隠し持っていた点で
裁判に影響していた部分が大きいのですが、
実際はそんなに上手くは行かないんだろうなという感じですね。
そのことについて清義はこう語っています。
刑事弁護は、孤独な闘いだよ———。
(中略)
隙のない証拠をそろえた自負があるからこそ、彼らは起訴に踏み切った。
(中略)
手渡された爆発寸前の爆弾を、ドライバー1本で解体しろと命じられる。無罪主張をする弁護人に求められるのは、そんな作業だと僕は考えている。
(中略)
だからこそ、有罪率99.9%という数字が導き出されるのだ。
本文より引用
「99.9」なんていうドラマもありましたけど、
確実な証拠をもって起訴されるわけなので、
そこをひっくり返すのは、
余程のことでないと難しいんでしょうね。
法律や裁判についても知れつつ、
無罪を勝ち取っていく過程のヒリヒリした感じも味わえ、
人間ドラマとしても面白い作品でした。
ぜひ読んでみてください。
終わりに
ここまで、
五十嵐律人さんの『法廷遊戯』
を紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?
この「法廷遊戯」という作品においては、
裁判の結果云々というよりは、
主要の登場人物である3人がどのように繋がり、
どのように相手に楔を打ち付けているのか、
といった人間ドラマの方が前面に出た作品だったなという印象です。
なので、前出した「99.9」や別作品だと「リーガルハイ」のような
爽快な逆転劇という感じではないですが、
法律家の道を志した人間による
練りに練られた復讐劇という感じだったので、
読後は胸に来るものがありました。
ただ、俄然この作品が映像化されるとどのようになるのか
気になってしまったので、
映画は絶対見に行きたいと思います。
みなさんもぜひ!
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