【惑星難民X】生きづらさを抱える女性を通して見た現代社会の闇『隣人X』

小説

はい、こんにちは。キザメです。

今回は、

パリュスあや子さんの「隣人X

を紹介していきます。

 

映画化されるということで手に取った作品でしたが、

いろいろと考えさせられる物語でした。

「いろいろ」の部分は後述していきますので、

ぜひ読んでいってください。

 

それでは始めていきましょう。

あらすじ

第14回小説現代長編新人賞受賞

 

他人との関わりを避けて暮らす良子。

外国からの留学生リエン。

派遣で働く紗央。

奇妙な糸で結ばれた三人の女性はそれぞれに生きづらさを感じていた。

そんな時、人間とまったく同じ見た目になり、決して危害は加えないという他の星の生物が難民として認められた。

騒然とする社会で、三人が選んだ道とは―――。

本書裏表紙より引用
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見どころ

この作品は、

主要な視点人物として三人の女性が描かれています。

  • 派遣社員として忙殺され、書き物に充てる時間も取れず無為に生きている土留紗央
  • 男性との関係でトラブルを抱えて以降、人との関わりを避けたシンプルな暮らしに落ち着いていた柏木良子
  • ベトナムから留学してくるが、慣れない環境や言語に苦労しているグエン・チー・リエン

 

総じて描かれているのは、

自身の立場も含めた社会での「生きづらさ」だと感じました。

  • 派遣社員であっても正社員と同等に働かされるものの待遇に差が出てしまうことや、
  • それに伴ってやりたいことができないこと、
  • 独身でいることに対する世間の目、
  • 異国民に対する狭量さ、
  • 男という存在、

といったことが、それぞれの立場と相まって、

「怖さ」「怒り」「悲しさ」であったり「辟易とした気持ち」として表現されています。

ある意味ステレオタイプに対するアンチテーゼとも言えるのでしょうか?

 

そして、メインの話題ともいえる「惑星難民X」についてですが、

視点となる3人それぞれで捉え方が違う点が面白い部分ではあるのですが、

一番大きな意味づけとしては、

日本という国の鎖国的というか、排他的な文化が持つ怖さ

にあるのかなと思いました。

 

作中で、とある人物に「X]であるという報道が出てからの、

マスコミを中心に徹底的に追い込んでいくような姿勢には、

読んでいても怖くなってしまいました。

その一方で、

そのとある人物の妻が訴えた言葉が

作者の訴えたかったことなのかなと思ってしまいました。

「私はいいんです!彼が何であったっていいんです!彼は私と娘を守ってくれたんです、命を懸けて、その一生をかけて、私たちの幸せを…」

「私たちを、放っておいてください!これからも一緒に生きていきたいだけなんです、お願いします!放っておいてください!」

このような感じで、

日本の報道や取材のあり方に一石を投じそうな作品だなと思いました。

 

ただ、視点人物の3名は、

それぞれがプラスの方向に歩みを進めているので、

その辺りはこの作品の救いかなという感じですね。

特に、良子は彼氏であった笹に大いなる裏切りを受けるので心配でしたが、

雨降って地固まる…。

結果的に家族の絆が深まりましたね

 

 

私は、映画も見たのですが、

映画では、この良子の彼氏であるが視点人物になるので、

ある意味、原作の答え合わせ的な要素のある作品となっていましたね。

もう映画自体は放映を終えていますので、

DVDやサブスクで出てきたら見てみてください。

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終わりに

ここまで、

パリュスあや子さんの「隣人X

を紹介してきましたが、

いかがでしたでしょうか?

 

報道の在り方であったり、

我々で言えば、SNSとの付き合い方とか、

他者についての寛容さとか、

考えることの多い作品でした。

日々生きづらさを抱える方には、

刺さる部分の多い作品かなと思いました。

 

当ブログでは、これからも

漫画や小説などの紹介記事を投稿していきますので、

楽しみに待っていていただければ幸いです。

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今回はここまで!

ありがとうございました。

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