はい、こんにちは。キザメです。
今回は
湊かなえさんの「母性」を紹介していきます。
ご存じの通り、
2022年11月に映画が公開されるということで、
公開前に原作を読んでおこうということで
手に取りました。
私の場合、
結構映像化のCMを見て、
見たくなって原作を読んでみたり、
逆に映像作品を見て、原作を読みたくなったり、
というきっかけて小説を読み始めることがよくあります。
今回は先に読みましたので、
紹介していきます。
「母性」の映画も見に行きたいと思っていますので、
見た後は、追記で感想も書いていきたいなと思っていますので
どうぞお楽しみに。
それでは、始めていきましょう。
あらすじ
女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。
母親は言葉を詰まらせる。
「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。
世間は騒ぐ。
これは事故か、自殺か。
……遡ること十一年前の台風の日、
彼女たちを包んでいた幸福は、突如奪い去られていた。
母の手記と娘の回想が交錯し、浮かび上がる真相。
これは事故か、それとも―――。
圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語。
本書裏表紙より引用
感想
何だか読んでいて苦しくなる作品でした。
2つの事件（事故）により大きく狂ってしまった
一つの家族、いや、一組の母娘の話です。
愛する母親に褒めてほしい、喜んでほしいという思いが
生きるすべてだった母親と、
母親に愛してほしくて母親の思うように育ち、
大きくなってからは、母親を守れるのは自分だけという思いで
生きてきた娘。
この二人の手記が交互に展開され、物語が進んでいきます。
この母娘の関係が温かく愛で満たされてくるところで、
事件（事故）が起こってしまい、
母娘関係にひびが入っていく展開には重苦しいものがありました。
特に2つ目の事件（事故）の時の
母を守りたかった娘と汚い言葉を使った娘に不快感を示した母の
すれ違いは読んでいて苦しかったです。
このように、母視点と娘視点で
同じ出来事でも捉え方が全然違っていて、
基本的には思い合っているのに、
大事なところが表出されていないがゆえに
溝が深まっていて、
つくづく、コミュニケーションを図ることの大事さが身に染みました。
終章の一歩手前、6章のラストシーンはその象徴的な描写だったと思います。
そして、娘は最後まで母親のことを想って行動していたところに
泣けてしまいました。
この話では、各章の冒頭に
「母性について」と題した、
『愛能う限り』という言葉に違和感を持った女性の話が展開されているのですが、
そこでのセリフ（↓）がこの物語の本質なのかなと思いました。
子どもを産んだ女が全員、母親になれるわけではありません。
母性なんて、女なら誰にでも備わっているものじゃないし、
備わってなくても、子どもは産めるんです。
子どもが生まれてからしばらくして、母性が芽生える人もいるはずです。
逆に、母性を持ち合わせているにもかかわらず、
誰かの娘でいたい、庇護される立場でありたい、
と強く願うことにより、
無意識のうちに内なる母性を排除してしまう女性もいるんです。
本文より抜粋
よく、以心伝心・阿吽の呼吸・ツーカー
といった言葉で表現される夫婦や親子、家族
がいるかと思いますが、
この作品を読んで切に、
こういう人たちは、
互いをよく観察し、
よく話をし、
時にはぶつかりながらお互いを知っていったんだろうな
と思いました。
それゆえに、この物語の父親には憤りを感じてしまいますね。
全然わかっていなかったらあきらめもつきますが、
あれだけ本質を理解していながら、
「まあ、分かっているだろう」と、
ちょっとした声掛けや気遣いをしてこなかった結果が、
この結果に至ってしまったんだろうなと
思います。
それだけ感じることの多かった作品です。
映画を見るもよし、原作を読むもよし、
とにかく、この作品に触れてみてほしいです。
終わりに
ここまで、
湊かなえさんの「母性」を紹介してきましたが、
いかがでしたでしょうか？
重苦しい内容でしたが、
映画ではどう表現されるのか楽しみになりました。
記事の冒頭でも言いましたが、
映画を見たら感想も追記していきますので、
その辺も楽しみにしていただければ幸いです。
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映像化作品として
相沢沙呼さんの「medium」
の紹介記事も書いています、
よかったら読んでみてください。
今回はここまで！
ありがとうございました。
【追記】
母性の映画観てきました♪
原作内での重要な出来事が一つ抜けた構成になっていましたが、
それでも親子の関係性の変化が分かりやすかったですし、
何より、戸田さん、永野さんの演技が良くて、
すれ違い具合が表情や声色、仕草の一つ一つから伝わってきました。
オススメです。
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