【エッセイ】作家の書く日常のエピソードはやっぱりおもしろい!「時をかけるゆとり」作品紹介

小説紹介

はい、こんにちは。キザメです。

今回は、

朝井りょうさんの「時をかけるゆとり

を紹介していきます。

 

実は朝井リョウさんの作品は初読みで、

何者」とか「正欲」とかから読み始めてみようかとも思いましたが、

ゆとりシリーズの最新作である「そして誰もゆとらなくなった

の帯に『頭空っぽで楽しめる本』と書いてあるのを見て、

じゃあ第1弾から読んでみようと思って読んでみた作品です。

 

それでは始めていきましょう。

あらすじ

就職活動生の群像『何者』で戦後最年少の直木賞受賞者となった著者。初エッセイ集では天与の観察眼を縦横無尽に駆使し、上京の日々、バイト、夏休み、就活そして社会人生活について綴る。「ゆとり世代」が「ゆとり世代」を見た、切なさとおかしみが炸裂する23編。

Amazon商品ページより引用
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見どころ

みなさんの周りに

やたら物事を可笑しく話せるっていませんか?

私の周りにも何人かそういう人はいます。

話を聞くたびに、

面白おかしく話せてすごいな

と思っていたのですが、

この「時をかけるゆとり」は

まさにそんな感じな作品でした。

 

この作品を読んで思ったのは、

こういう人のもとに、偶々面白いエピソードが降ってくるわけではなく、

恐らくは我々のもとにも話の種はたくさん撒かれていて、

ただ、それを面白い出来事として捉える感性

面白い出来事として話すための切り取り方構成力

といったものにより、

面白い話として花を咲かせているんだなと思いました。

 

時をかけるゆとり」で描かれているのは、

朝井さんが学生の頃の話が大半を占めていて、

学生故のノリが引き起こした出来事も多くあれど、

オープニングトークが「便意」で始まる辺りはさすがやなと思いましたね。

他にも「母親」の話や「スマホに替えたとき」の話なんかもあって、

誰にでも1エピソードありそうなテーマ

自身のことにも思いを馳せながら読むことができます。

 

好きなエピソード

作中には、23篇の話が書かれていますが、

中でも好きな話は、

⑥母校を奇襲する

⑦黒タイツおじさんと遭遇する

⑨⑩旅行を失敗する

ですね。

 

「⑥母校を奇襲する」

まず、「⑥母校を奇襲する」では、

朝井さんが昔、「花粉症」や「視力の低下」、「過呼吸」

がかっこよく見えていた時期があったという

どうかしているカミングアウトに始まり、

映画「桐島、部活やめるってよ」の撮影チームとともに

母校を訪問した話が描かれています。

そこで、

ホームルームで10分スピーチをした話も好きなのですが、

最後に描かれた

男子生徒7人が学校祭で

「ポケモンのバトルシーンメインの劇(しかも進化あり…)」

をしようと案を練っている場面に遭遇した話が面白かったです。

朝井氏をもってしても、

「これはあかん」と思わせる内容ということで、

どんな劇になったのか?

そもそも実行できたのか?

その先が気になる話でした(笑)。

 

「⑦黒タイツおじさんと遭遇する」

続いて「⑦黒タイツおじさんと遭遇する」です。

 

朝井さんがマックで遭遇した

下半身黒タイツのおじさんとのエピソードになります。

 

やっぱりどこにでも、

少しおかしな人っていうのはいるものなんだなと思いましたね(笑)

そんな変なおじさんから逃げられなかった朝井氏、

どんなやりとりがあったのかは、

ぜひ、本を読んでご堪能ください。

 

「⑨⑩旅行を失敗する」

最後は、「⑨⑩旅行を失敗する」です。

これは2本立ての話になっています。

1本目は東京の御蔵島や大島を巡る3泊4日の旅行で、

ドルフィンスイミングや花火大会、登山、を楽しむべく

長い長いフェリーの旅に出るのですが…。

まあ、思っていたようにはいかないですよね。

台風が来たり

トイレで船酔いして倒れている人がいい感じに幽霊に見えたり

なんやかんやあるのですが、

最後は島民に思いを馳せた少しノスタルジーな良き締めが待っています

 

その一方、2本目の話では、

朝井さん自身が「自分を貶めてみようと思う」と述べている通り、

無計画が招いた悲劇が書かれています

 

北海道で行われる「RISING SUN」という

8月12日~14日の朝まで催される

オールナイトのイベントに参加する予定を立てていた一行。

フェスを中心に据えた貧乏旅行」をテーマにしており、

移動は車、宿には泊まらず宿泊はすべてテント

というプランで行く予定であった。

 

この時点で「おや?」と思った人は、

旅に精通しているか、

同じ失敗をしでかした経験がある方かもしれませんね。

 

実は、この時朝井さんたちは

青函トンネルを車で通っていく

という想定で予定を立てていたのです(;’∀’)

そう!

青函トンネルは車で通ることができない

ということを知らなかったんですね。

これに気付いたのが出発の2日前…。

察しのいい人は、もうお分かりですね。

 

あえてマーキングしておきましたが、

時期も悪かった。

「じゃあこうしよう」「こうしたらどうだろう」

という変更案もすべてが打ち崩され、

北海道には行くことができません

という現実だけが突きつけられるのでした。

 

さあ、この旅はどういう結末を迎えるのか…。

ぜひ読んでいただきたいです。

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まとめとして

3つの話を紹介してきましたが、

こんな感じで、クスッと笑える話ばかりですし、

もしかしたら自身でも似たような経験があったりするかもしれないですしね。

 

実は、朝井さんとはほぼ同世代だったりもするので、

自分はこんなことがあったなとか

そんな思い出も呼び起こされる作品でした。

昭和60年代~平成初期生まれの人は

そんな視点で読んでみても面白いかもしれないですね。

Bitly

終わりに

ここまで、

朝井りょうさんの「時をかけるゆとり

を紹介してきましたが、

いかがでしたでしょうか?

 

日常の体験談を作家さんが描くと

こんなにも面白く感じられるんだ

というのを体験できる作品だなと思います。

気楽に読める作品だと思うので、

ぜひ手に取ってみてください。

 

朝井リョウさんの作品では

正欲」も紹介していますので併せて読んでいただければ幸いです。

【マイノリティー】理解はできなくとも、知っておきたい世界がここにはある!『正欲』作品紹介
今回は、朝井リョウさんの「正欲」を紹介していきます。正直言って、誇張なく価値観やら世の中の見え方やらが変わる作品だと思います。自分はこの作品を読んで、「多様性」という言葉を薄っぺらく感じました。多分、この言葉の裏で苦しんでいる人がいるんだということを知るきっかけになると思います。ぜひ読んでいってください。

 

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