【ヤングケアラー】若くして介護と家事を担った子供の人生に自然と涙があふれてきました。『私だけ年を取っているみたいだ』作品紹介

マンガ

はい、こんにちは。キザメです。

今回は、

水谷緑さんの「私だけ年を取っているみたいだ

を紹介していきます。

 

水谷緑さんは、医療系のコミックやコミックエッセイを

多く書いていらっしゃる作家さんで

いろんな方の実際のエピソードをもとに描かれているので

リアルですし、看護師として読んでも大変学びの多い作品ばかりです。

 

今回はヤングケアラーについて描かれた作品を紹介していきます。

きっと、誰かの支えになる!

そう思い紹介していきますので

ぜひ読んでいってください。

 

それでは始めていきましょう。

あらすじ

“家族のかたち”を守るため、あの日わたしは自分を殺した。親との関係に悩むすべての人へ――失われた感情を取り戻す、ヤングケアラーの実録コミック!

統合失調症の母、家庭に無関心な父、特別扱いされる弟、 認知症の祖父――ゆいは幼稚園のころから、買い物・料理・ そうじ・洗濯など家族の世話を一手に担っている。母親の暴力に耐えながら「子どもらしさ」を押し殺して生きるのに精一杯だった彼女の子ども時代と、成人してからの「ヤングケアラー」としての自覚。 仕事、結婚、子育てを通じて、悩みにぶつかりながらも失われていた感情を取り戻すまでの再生の物語です。

Amazon商品ページより引用
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見どころ

まず、ヤングケアラーとは何だろう?

って方が多いのかなと思うので、

そこから話していきましょう。

ヤングケアラーとは?

ヤングケアラー」とは、

本来大人が担うと想定されている

家事や家族の世話などを日常的に行っているこどものこと

を指し、

本当なら享受できたはずの、

勉強に励む時間

部活に打ち込む時間

将来に思いを巡らせる時間

友人との他愛ない時間…、

これらの「子供としての時間」と引き換えに

家事や家族の世話をしています。

詳しいことは子ども家庭庁に特設ページがありますので

見てみてください↓ 

ヤングケアラーを知っていますか?|ヤングケアラー特設サイト
ヤングケアラーを知っていますか?|ヤングケアラー特設サイト

そして、ヤングケアラーになることでの一番の問題とされているのが、

頼ったり、相談できる人が周囲にいないということです。

当然頼れる人がいれば、ヤングケアラーにはなっていないでしょうし、

相談したくても、普通と違うということが恥ずかしかったり

自分が頑張れば知られずに済むんじゃないか

とか、そんな思いが見え隠れしますよね。

そうして孤立し気持ちが病んでいく…、

そんなヤングケアラーの半生が描かれた作品が

私だけ年を取っているみたいだ」になります。

 

それでは内容紹介に移りましょう。

ヤングケアラーが陥りやすい状態が詳細に描かれている

主人公のゆいは、

統合失調症の母、家庭に無関心な父、特別扱いされる弟、 認知症の祖父…。

この家庭の中で、幼稚園の頃から

買い物・料理・ そうじ・洗濯など家族の世話を一手に担っています。

 

中でも、日々状態の変わる母親の世話には苦労していて、

もちろんいい状態の日もあるのですが、

多くの日は被害妄想が酷く、

「私を馬鹿にしてる」「夫が浮気をしている」

と激高しては物を投げつけたり包丁を向けたりしてきます。

そんなゆいの精神安定方法は

皆が寝静まってからお気に入りの物語を読んだり

ぬいぐるみを引きちぢっては縫い直すというものでした。

この時点で、かなり追い詰められていそうですが、

ゆいは耐え続けます。

感情を殺し過ぎて無気力に

ゆいは、一人で頑張るなかでも

大人に頼ろうとする機会は何度もありました。

ただ、父にせよ、祖母にせよ、

動いてくれることはありませんでした。

結果としてゆいは、

一喜一憂するから苦しいんだ」という考えに至り、

感情を切り離すようになります

その影響は学校生活でも表れてしまい、

友達が話しかけてきても無感情に応じてしまったり

現代文の試験で気持ちを問われても、

何を考えているのか全く思い浮かばなくなってしまいます

そうして、段々と無気力になっていったゆいは、

どうでもいいや」と

学校にも行かず家にも帰らなくなってしまいます。

周りは誰も助けてくれない

家出状態となったゆいは、

街をさまよう中、

同じように家に帰らない女子高生たちと遊ぶようになります。

その子らと別れた後、援助交際目的であろう男に声をかけられます。

普段なら相手にせず逃げたのでしょうが、

家に帰りたくない」「家から離れたい

という思いが強かったゆいは、ついていこうとします。

そこを警官に見つかり補導されてしまうのです。

 

その時の大人たちの対応が酷かったですね。

学校の先生は、

補導されるなんてとんでもない

学校に泥を塗る気か

などと叱責し、誰もゆいの話を聞きませんでした。

挙句、同席した母も

こんな不良じゃなかった

裏切り者

と言い出す始末。

少なくとも教師が、叱りつつも話を聞いてくれていたら

この場に母を呼ぶことが不適当だということがわかったでしょうし

(まあ、父親が適当とも言い難いのですが…)

それこそ、何かしらの相談窓口などを探して

勧めるくらいのことはできたかもしれないですよね

 

味方がいなくなったゆいは、

常に「死にたい」「殺せよ

などと考えるようになります。

とどめは、母と祖母が言い争っているのを見たとき…。

プツンっと何かが切れてしまったゆいは、

大笑いし止まらなくなってしまい、

祖母に連れられて精神病院に入院するのでした。

子育てでフラッシュバック

精神病院に入院したゆいは、

家事や母の世話をしなくていい生活を送るなかで、

自立して生活したいという思いを強くします。

結果として看護師を目指すことにしたゆいは、

実家に帰らなくていいように

寮を探したり、奨学金付きの大学を探したりします。

その後、なんやかんやあって看護師となり、

同僚の男性と結婚します。

(このなんやかんやの中にもいろいろとありましたが、今回は割愛します)

一般的な家庭の普通に驚きながらも穏やかに過ごしていき、

子供にも恵まれます。

しかし、育児をする中で不意に

自身の子供時代のトラウマがフラッシュバックし、

立ちすくむことが増えてきました。

そうして立ちすくんでいる内に、

子どもが洗剤を口にしてしまう事故が起こってしまいます。

母親失格

そういう考えが強まったゆいは

自身が入院していた時に担当してもらった看護師に相談にいきます。

子供の頃のトラウマが育児期間にフラッシュバックすることは

よくあるということを聞き、

安心したゆいはアドバイスに則り、

ヘルパーを頼んだり

夫との役割分担を相談したり

自助会に参加して話をしたりしていくことで

少しずつ心の安寧を取り戻していきます。

 

この過程で、

わがままを言う子供に苛立つゆいに

夫がかけた言葉が、

個人的にはなんかいいな

と思ったので載せておきます。

こんなに素でやりあってる人間初めてじゃない? 

苛立つでもなく子から離そうとするでもなく

ゆいの変化を伝えてあげたり

母親として経験していることを受け止めている感じがして、

個人的には素敵な対応だなと思っています。

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まとめとして

やはり相談できる場があるって大事なんだなというのが

よくわかりました。

割愛してしまいましたが、

ゆいが精神病院に入院したときに、

看護師に自分の想いを話せたり

その後に母との対話の場を作ってもらえたりして、

少し気持ちに変化が見られたりしています。

この看護師とはことあるごとに相談にのってもらったりしていて、

支えになってもらえていますし、

ゆいが就職してからの師長にも相談できたり

結婚後は夫にも家事の分担など相談できるようになっていっています

自助会でも、最初は上手く話せなかったものの、

聞いてもらえるという安心感から

徐々に自分のことを話せるようになっています。

 

一人で抱えないことが大事ということですね。

近年では、様々な相談窓口もできていますし、

もちろん医療機関や

同じような境遇の人があつまるコミュニティーもあると思います。

作中のコラムにも、

『こどもぴあ(精神疾患の親をもつ子どもの会)』

という自助グループのことが書かれています。

こどもぴあ
精神疾患のある親に育てられた子どもの立場の人と支援者で運営しています。家族による家族学習会というピアサポート活動をおこなっています。

もちろん安易に「気軽に行ってみたら」とは言えませんが、

でも、少し気持ちが軽くなったり

自分だけじゃないって思えることが大事なのかなと思うので、

こういう作品を読んでみて、

その一歩を踏み出すきっかけになったらいいなと思っています。

 

私は、高校の頃に父親がクモ膜下出血で倒れて、

緊急手術・長期入院することになったことがあり、

母は父に掛かり切りという状況で、

私が、弟たちの世話をするため部活を休んだりしたことがありました。

幸い、父は後遺症もなく退院することができましたが、

それまでの期間は、父が死んだら…、介護が必要になったら…、

そんなことが頭をよぎり続ける日々だったことを覚えています。

面倒を見てくれた親戚や

面会に行くたびに様子を話してくれた看護師の方には、感謝しています。

 

悩みや抱えているものの大きさは他人にはわかりません。

話してみたら思わぬところから光が射すこともあります

もちろん、話したことで嫌な思いをする事だってあるかもしれません。

でも、話そうとしなければ、

周りは気づけませんし、寄り添うこともできません

頼ることは甘えではないと思うので、

どうか、頼ることを諦めないでほしいです。

この作品を読み、

ヤングケアラーについてホームページなどを見ていく中で

強くそう思いました。 

 

この作品が、ひいてはこの記事が

誰かの一歩を後押しできることを願っています。

 

Amazon.co.jp

終わりに

ここまで、

水谷緑さんの「私だけ年を取っているみたいだ

を紹介してきましたが、

いかがでしたでしょうか?

 

私は、職業柄こういう医療系の作品を読むことが多いです。

というのも、

やはり自分の経験だけでは追いつかないくらい、

医療は進化・変化していきますし、

社会問題というのも都度移り変わっています。

日々の忙しさの中で新たに知識を得ていくのは中々大変です。

その点、こういう医療系のマンガは、

しっかりと取材して、リアルな経験談が描かれることが多く、

自分の経験だけでは知ることのできなかった患者のリアルを知れたり

関わってこれなかった医療や看護について知れたりします。

とっかかりとしては最適なんじゃないかなと思っています。

こんな記事も書いてますのでよかったら読んでみてください。

医療を知るには最適!勉強になった医療漫画5選+1作品
今回は勉強になった医療漫画ということで紹介させていただきます。個人的な思い入れも含めて紹介しています。医療従事者もそうでない方も、興味を持っていただける作品たちかなと思うので、ぜひ見ていってください。

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今回はここまで!

ありがとうございました。

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