はい、こんにちは。キザメです。
今回は、
町田そのこさんの「宙ごはん」
を紹介していきます。
町田そのこさんは
「52ヘルツのクジラたち」
で2021年の本屋大賞を受賞されている作家さんで
気にはなっていたのですが、
まだ未読のまま今に至ってしまいました。
ただ、今回
2023年本屋大賞に本作がノミネートされたということで、
満を持して手に取ってみた次第です。
率直にすごい作家・作品に出会ってしまったと
震えております。
ぜひともみなさんに読んでみて欲しい作品でした。
それでは始めていきましょう。
あらすじ
この物語は、あなたの人生を支えてくれる
宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。
厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、
イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。
二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。
待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。
代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。
花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。
ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。
その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。
全国の書店員さん大絶賛!
どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。
Amazon商品紹介ページより引用
見どころ
いやー、
率直に感動したし、
感情が揺さぶられまくった作品でした。
特別分厚い本というわけでもなく、
加えて5話構成なので、
サクサク読めるかと思っていましたが、
各話がジェットコースターのように激動で、
割と登場人物の心情に寄ってしまう私としては、
何度も何度もギューッと胸を掴まれたり、
とても温かい気持ちになれたりとで、
揺れ動く感情を飲み込むのに時間がかかってしまいました。
でも、温かさや多面性、不確かさといった
人間の様々な部分を垣間見ることができて、
楽しい読書体験をさせていただきました。
この作品全体を通して、
多くの出会いと別れが描かれるのですが、
その中で経験する様々な感情の揺れを糧にして、
それを経て育った宙の成長はもちろんなのですが、
「お母さん」である花野も最初とは別人かしらと思うくらいの
成長を見せてくれるので、
子供だけでなく、親、ひいては大人だって
成長するんだというのが大変伝わりました。
そして、その中で重要な役割を担うのが、
各話に出て来る料理たちです。
- 第一話 ふわふわパンケーキのイチゴジャム添え
- 第二話 かつおとこんぶが香るほこほこにゅうめん
- 第三話 あなたのための、きのこのとろとろポタージュ
- 第四話 思い出とぱらぱらレタス卵チャーハン
- 第五話 ふわふわパンケーキは、永遠に心をめぐる
タイトルのラインナップを見ると、
特筆してすごい料理というわけではもちろんないですが、
それぞれのエピソードにおける
各登場人物の心を救い、
時にはその関係性を密にしてくれた
そんな重要な立ち位置の料理たちなのです。
パンケーキもいいのですが、
個人的には第4話の「ぱらぱらレタス卵チャーハン」
が印象的でした。
というのも、あの花野が宙に振る舞った料理だからです。
「あの」なんて言ってもピンと来ないかもしれませんが(苦笑)
ここに行きつくまでの物語の積み重ねで
母親が娘に料理を振る舞うという
至極一般的なシーンが
めっちゃいいシーンに様変わりしたのです。
この時の、宙・花野の心情を想うと
とても胸に来るものがあります。
きっとみなさんにも思い出の料理やお店のメニュー
それにまつわるエピソードがあるかと思います。
そういう自身の思い出も、
読んでいるとフラッシュバックしてきました。
この作品を読んだ後、
ご家族とそんな話をしてみるのも粋かもしれませんね(*´▽`*)
物語を彩る料理たちには触れたので、
各エピソードにも少し触れていきたいと思います。
どの話も印象的で多くの気付きを与えてくれたのですが、
やはり1番は第5話の被害者と加害者家族の話ですね。
「被害者や被害者家族に許しを乞うのは暴力と同じだ。」
という言葉にはハッとさせられてしまいました。
本編では、主に加害者家族の目線で3つのケースが語られているのですが、
どのケースにおいても、
許されたい、というよりは償いたいと願う加害者及びその家族に対して、
許したくないし、そもそも関わってほしくない、思い出させてほしくない
という被害者及びその家族の決して相入れることのない思いが
とてもリアルなやり取りとして描かれていて、
読んだ感想としては、
「この思いを知れたことは、きっとこの後の人生の財産になる」
と思いました。
正直、どちらの立場にもなりたくはないですが、
これまで他人事としてみてきた出来事であっても
この視点を知っているだけでも、
見え方は変わってくるんだろうなと思いました。
この作品の各話におけるメインのテーマは
この「被害者・加害者」の話のように、
重たい内容が多いですが、
その痛みを知り、
決して、100%納得したわけでも、
受け入れたわけでもない中で、
上手く飲み込んで
糧として成長していく姿に、
学ぶことが多いなというのが実感です。
冒頭でも言いましたが、
本当にジェットコースターのように、
感情が揺さぶられる話ばかりで、
その都度、考えたい物事が押し寄せてくるので、
しっかりと咀嚼して飲み込むのには時間がかかる作品でした。
ですが、
時間がかかってでも飲み込んでページを進めた先には、
きっと温かな気持ちになれる情景と料理が
待っていてくれると思います。
この本が
多くの人に届くことを願うとともに、
この記事がその一助となれたらいいなと思っています。
ぜひ語り合いましょう!
終わりに
ここまで、
町田そのこさんの「宙ごはん」
を紹介してきましたが、
いかがでしたでしょうか?
正直、どのエピソードも語りたいくらい、
この物語に引き込まれてしまいました。
それほどに、情景描写も心理描写も
鮮明に感じ取ることができました。
町田そのこさんの他の作品も
読んでみたくなってしまいましたね。
これから、追っていきたいと思います。
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