物騒な言葉の裏にある本当の気持ちに涙が止まらない!「杉森くんを殺すには」

児童書紹介

はい、こんにちは。キザメです。

今回は、

長谷川まりるさんの「杉森くんを殺すには

を紹介していきます。

 

それでは始めていきましょう。

あらすじ

「杉森くんを殺すことにしたの」
高校1年生のヒロは、一大決心をして兄のミトさんに電話をかけた。ヒロは友人の杉森くんを殺すことにしたのだ。そんなヒロにミトさんは「今のうちにやりのこしたことをやっておくこと、裁判所で理由を話すために、どうして杉森くんを殺すことにしたのか、きちんと言葉にしておくこと」という2つの助言をする。具体的な助言に納得したヒロは、ミトさんからのアドバイスをあますことなく実践していくことにするが……。

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見どころ

いや〜、個人的な事情にはなっちゃいますが、グサグサ心に刺さる作品でした。

 

「杉森くんを殺すことにしたの」

 

広瀬結愛が義兄のミトさんにそう告げるところから始まる物語。

そう告げた後の結愛の日常が描かれつつ、

各章末に「杉森くんを殺す理由」が語られます。

 

ミトさんのアドバイスに則り、

結愛は刑務所に入ることを考えて、

今のうちにしたいこと

―貯金を使って漫画を大人買いしたり、ひたすら彫刻刀で木彫りの人形を作ったり―

を残りの人生を楽しむようにやりたいことに邁進していきます。

そんな中でも育まれる友情が少しずつ結愛の気持ちに変化を生んでいきます

それと同時に、「杉森くんを殺す理由」で語られる杉森くん像も、

1つ目の理由で抱く杉森くんのイメージから、

章が進むごとに少しずつ変化が生まれていき、

途中何度か「えっ…!?」っていう驚きの事実が明かされていきます。

 

杉森くん像だけではなく結愛が抱く「杉森くんを殺す理由」にも変化が生まれていき、

初めは杉森くんへの恨み辛みが語られていきますが、

少しずつ内省的なものになっていき、

最終的には結愛の周囲の人々へと向かっていきます

それは悪いことではなく、

杉森くんのことにしか向いていなかった意識が

自分や周りへと向けることができていったことを意味しますし、

逆に言えば、

ちゃんと向き合えていなかった杉森くんのことに、

「殺す」という意図を持つことでちゃんと向き合うことが出来ていった

ということもまた含まれているのだなと思います。

 

そして、読み進めていく中で知らされる

「杉森くんを殺す」ということの本当の意味には、

自然に涙が溢れてきました。

 

そもそも、ミトさんが結愛の申し出を否定も問いただしもせず、

受け止めたことの理由もこの本当の意味に帰結していきます。

 

上手く表現できませんが、児童書ではありますがきっと、

色んな人に考える余地をくれるとともに、

人によっては過去の出来事を呼び起こす作品だなと感じました。

正直私は、後者の意味で忘れることの出来ない作品となりそうです。

キザメの話

ここからは、私自身の話になりますのでスキップしていただいて構いません。

私には、小学生の頃からの友達がいます。

彼とは、小中が一緒でした。

ただ、中2の頃から不登校になってしまい、

それ以降卒業式で顔を見たくらいで、

会話を交わすどころか顔を合わすこともなく今に至ります。

そうなってしまった理由があるのですが、

まずは私達の関係性から話していきます。

私の小学生時代は、

割と八方美人的な要素があり、誰とでも関われる人間だったので、

教師サイドから見てもありがたい存在だったんでしょう。

人付き合いの苦手な子たちとグループを組むことが多く、

彼はその中のひとりでした。

私自身、小さい頃から来るもの拒まずで、相手の拒否がない限り別に離れることもない、

そんな人間だったこともあり、割と仲良くさせてもらっていました。

関係性が崩れたのは中学に入ってから。

私は野球部に入り、彼は美術部に入ります。

新しいコミュニティーに属したことで以前ほどの関わりはなくなっていきましたが、

それでもクラスが同じだったから話すこともありました。

でも、2年になりクラスが離れるといよいよ関わりがなくなってしまい、

途中から彼は不登校となってしまいます。

ある日彼のクラスの担任から呼び出されました。

話を聞くと、「彼がキザメが原因だと言っている」との内容でした。

大人になった今、ましてこの作品を読んだ今の自分であれば、

「きっとこれはSOSなのかもしれない」

と思えることでしょう。

ですが、当時の私は「知りません」の一言で終わってしまいました。

当時の気持ちとしては、「裏切られた」っていう思いが強かった気がします。

たぶん怒ってました。

「なんで私の名前が出てくるの?」って。

彼との話はここで終わりです。

それ以降は、冒頭で話したとおり、特に顔も合わせることもなく今に至っています。

この作品を読んで、バチッと記憶が呼び起こされました。

多分、

あの時私が「きっと私と話す機会がなくなったからですね」

って言って謝罪したとしても、

大きな事象としては変わらなかったかもしれない。

でも、彼の心は少しは救われたのかもしれない。

そう思うわけです。

きっと、この話を聞いた人からは、

何もなかった側の偽善のように思われてしまうんだろうなって思いますが、

でも、私が彼のことを心に留めておくことはきっと、

誰かのSOSをキャッチすることに繋がるはず…!

そう思って話させていただきました。

 

作中で、結愛の親友となった良子さんが

人って、1か所だけに執着してたら、依存なんだって。

わりとよくないことなんだって。

でもね。いっぱい依存先もって、あちこちに相談できてたら、

それは自立っていうんだって。

と言っています。

この言葉を読んで、きっと彼は前者で私は依存先だったんだろうな

って整理ができました。

 

個人的には、自分が離脱なく生きていられるのは、

漫画や小説の存在が非常に大きかったなって思っています。

 

八方美人的と自分の子供の頃を評しましたが、

それ故に、実は依存に至るほどの人間関係の構築ができていなかったなと思っていて、

現実に大人になった今、コアに関われている人って多くはないんですよね。

そんな中でも、メンタル的に壊れなかったのは、

漫画や小説、特に漫画の影響が大きくて、

漫画の世界に入り込むことで、

色んな人の人生や経験を追体験し、

時に癒やされ、時に感動し、時に笑い、時に怒り、

そうして得た客観視力が私を救ってくれている気がします。

 

それが講じてこうやって本の紹介をしていますから、

人生わからないものですね。

 

湿っぽい感じになってしまいましたが、以上で終わります。

Amazon.co.jp: 杉森くんを殺すには eBook : 長谷川まりる, おさつ: Kindleストア
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終わりに

ここまで

長谷川まりるさんの「杉森くんを殺すには

を紹介してきましたが、

いかがでしたでしょうか?

 

恐らく、いろんな記憶や感情が呼び起こされる作品なんじゃないかなと思いますし、

杉森くんを殺す」という強いワードが冒頭出てくるからこそ、

登場人物たちの思考や感情に思いを馳せることができるのかなって思いました。

杉森くんの人物像が小出しに出てきていて、

それに伴って結愛の気持ちや杉森くんへの想いも変化していくことで、

見えてくる二人の関係性も変わっていき、

人間関係の表裏一体性も感じられると思います。

自分の状況を客観視するに当たって、

被害者・加害者の両輪で見ていくっていうのが大事かなと思っているので、

そういう点でも最適な作品でしょう。

ぜひ読んでみてほしいです。

 

当ブログでは、これからも

漫画や小説などの紹介記事を投稿していきますので、

楽しみに待っていていただければ幸いです。

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今回はここまで!

ありがとうございました。

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