【これは私だ!】どこかで諦め蓋をしてしまった自分の声を取り戻せ!「声の在りか」

小説紹介

はい、こんにちは。キザメです。

今回は、

寺地はるなさんの「声の在りか

を紹介していきます。

それでは始めていきましょう。

あらすじ

「こんなところにいたくない」

――希和が見つけた短冊は、息子・晴基の字にそっくりだった。”こんなところ”は家なのか学校なのか。知りたい、でも知りたくない。もやもやを抱えつつ、希和は晴基が出入りしている民間学童で働き始める。PTA、保護者のLINEグループ、学童で出会う息子の同級生たち、そして夫との関係。ままならない日々の中、希和は自分の声を探し続ける。呼吸することが少し楽になる、あなたのための物語。

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見どころ

 寺地はるなさんは、2023年の本屋大賞にノミネートされた

川のほとりに立つ者は

を読んで、

優しく気づきを与えてくれる文章が好きになりました。

次の作品は何を読もうかと考えていたところ、

この作品が目に留まりました。

 

帯に書いてあった

「わたしの声、飲み込み続けているうちにどこへきえてしまったの―――。」

という一文を読んで、

直感的にですが、

自分がこの話の中にいる気がする…。

と感じ、手に取りました。

 

実際に読んでみて、

他人事とは思えない

自分の中にも確かにあるモヤモヤした感情がここにはありました

いつからこんなに「意見を交わす」ことがへたになったのだろう。感情を言語化する、ということはたいへんな労力を要する作業で、すくなくともわたしにとっては大仕事、という思いが、希和にはある。これまでその労力を惜しんできたのだし、その結果こうして自分の言葉を持たない人間になってしまった。

なんとかしたい。このままではほんとうに。声を持たない人間になってしまう。

本文より引用

 

物語は、

坂口希和を主人公として展開されます。

希和は、夫と小学四年生の息子の3人ぐらし。

パートで働きつつ、家事も一人でこなす日々の息抜きは、

SNSに投稿する少しの誇張を交えた日常の一コマ。

希和は、概ね満足の行く暮らしができていると思っていた。

 

ある日、息子のお世話になった小児科医院の次男が民間学童を始めたと聞き、

どんなものかと見に行ったところ、

ふと目についた短冊に、

息子の字に似た文字で「こんなところにいたくない

と書かれていた。

それ以来、不安やもやもやが尽きない。

息子には聞くことが出ず、

夫に相談しても空返事ばかり。

そんな折、パートを辞めることになり、

そのまま件の民間学童「アフタースクール鐘」で働くことになった希和。

小児科医院の次男:要や子どもたちとの関わりの中で、

少しずつ自分の気持ちや周りとの関係を見つめ直していく⋯

そんな物語。

言いたいことはたくさんあるのに、今いうべきことと言うべきでないかもしれない言葉を慎重に選りわけているうちに、喉がふさがったようになる。

わたしの声、と思う。飲みこみ続けているうちに引っこんでしまって、とっさに出てこない。もう消えてしまったのかもしれない。

本文より引用 

 

自分の気持ちは大切にしたいなって思わされる作品でした。

作品全体を通して何か大きな問題が解決したという類の話ではないので、

もやもやが残る人も多いのかなとは思いますが、

人間関係なんて、そんなスッキリと解決するものではないと思うので、

ある意味リアルな人生を提示してくれているとも言えると思います

そんな中で、希和の気づきや至った考え、

起こした行動というのは、

言わずに蓋をした言葉たちは

どう抗っても相手には届かないんだなっていう

当たり前だけど

気づかぬふりをしていたことに思い至らせてくれたなって思っています。

なにか言うより自分が手を動かしたほうがはやいと家事を分担することをあきらめ、育児の疲れから話している暇があったら寝たいと口を噤むことを選んだ。それは間違ったやり方だったかもしれない。でもこれまでのことを後悔し続けるよりは、この先の日々のことを考えたかった。

まだ、遅くはないはずだ。わたしたちは。そんなふうに思いながら、希和は和孝の横顔を見る。

本文より引用

 

息子にしても、夫にしても、

保護者会に存在するヒエラルキーに対しても、

顔色をうかがうばかりでやり過ごすのではなく

一歩踏み込んでみる⋯

もちろん、それがうまくいくことばかりとは限らない

でも、何かを変えるきっかけになるかもしれない

どこか感じていた閉塞感⋯

そこに光が差す

そんな作品かなと思います。

 

いくつか作中の言葉を引用させていただきました。

どれも個人的にとても刺さる言葉たちでしたが、

他にもたくさん気づきにつながる言葉がたくさん書かれています。

個人的には、希和と夫の終盤に展開されたやり取りが

好きでしたし、大変学びの多いものでしたね。

ぜひとも、自分の言葉、自分の気持ちを

探してみませんか?

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終わりに

ここまで

寺地はるなさんの「声の在りか

を紹介してきましたが、

いかがでしたでしょうか?

 

寺地さんの作品は、

問題を提起しつつも、優しい文体と様々な目線で展開される物語によって、

決して一方向ではない気付きに至らせてくれるので、

とても好きな作家さんの一人です。

これからもたくさん読んでいきたいですね。

 

冒頭で出した、「川のほとりに立つ者は」の紹介記事をここに↓貼っておきます。

【あなたはわたしのことを、どれだけ知ってる?】他人と生きる苦しさと救いを感じられる作品『川のほとりに立つ者は』
今回は、寺地はるなさんの「川のほとりに立つ者は」を紹介していきます。他人と生きる上で生じるすれ違いとその根底にある相手を大切にしたいという想いが交錯した物語だと思いました。恋人や家族、職場の人などとの関係に悩む人は読んでみて欲しい作品です。

 

当ブログでは、これからも

漫画や小説などの紹介記事を投稿していきますので、

楽しみに待っていていただければ幸いです。

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