はい、こんにちは。キザメです。
今回は、
本屋大賞2023のノミネート作品を
全作品読み終えましたので、
まとめ記事として、
全作品の紹介をしつつ、
最後には僭越ながら
私キザメの中の本屋大賞を
選出させていただきたいと思います。
異論などあるかもしれませんが、
個人の意見になりますので、
こういう意見もあるんだな
くらいの見方で温かく読んでいただけると
嬉しいです。
それでは始めていきましょう。
本屋大賞とは?
正式名称を、
「全国書店員が選んだ いちばん! 売りたい本 本屋大賞」
といい、
売り場からベストセラーをつくる!
という思いで設立された賞です。
本が売れない時代と言われている昨今の情勢の中、
商品である本と、顧客である読者を最も知る立場にいる書店員が、
売れる本を作っていく、
出版業界に新しい流れを作る、
ひいては出版業界を現場から盛り上げていけないか、
そんな熱い思いが込められています。
書店員の投票だけで選ばれる賞なので、
より読者に近い目線で選出される賞と言えるでしょう。
私自身、本屋大賞は気になっていたのですが、
これまではそこまで小説を読むわけではなかったということもあり、
積極的に手に取るということはありませんでした。
ただ、昨年からこのブログを始め、
YouTubeチャンネルの『ほんタメ』に憧れ、
ミステリーを中心に小説を読むようになる中で、
いろんな作品、いろんな作家さんに触れたい
という思いが段々と強くなりました。
そのタイミングで、2023年の本屋大賞のノミネート作品が発表され、
「せっかく本の紹介ブログを始めたんだから、
本屋大賞にノミネートされた作品を全部読んでみたい!」
そんな気持ちになり、
全作品を購入・読了に至りました。
少し長くなってしまいましたが、
ノミネート作品の紹介に進んでいきましょう!
本屋大賞2023ノミネート作品紹介
では、ここからはノミネート作品の紹介をしていきます。
この記事内では、
Twitterのような形で
短く紹介していけたらなと思っています。
もし、もう少し詳細が知りたいとか、
キザメはどう感じたんだろうとか、
そう思っていただけた方は、
各作品の紹介記事のリンクも貼ってあるので
ぜひそちらも読んでいただければなと思います。
なお、紹介する順番は、
読了順となっていますので、
掲載順が順位とは関係ありませんのでご了承ください。
1作品目:方舟/夕木春央
9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?
大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。
Amazon商品紹介ページより引用
山奥にある地下建築を訪れた主人公を含む大学の同級生6人と従兄1人。
そこに迷い込んだ家族3人を加えた10人でその地下建築に泊まることに…。
明け方に発生した地震が出口を塞ぎ、建物内は浸水が進んでいく。
助かるためには、だれか一人が犠牲になる必要が…。
誰が犠牲に…
そんな中次々と起こる殺人。
そうだ!犯人がその一人になればいい。
そんな感じで二重三重に追い込まれていく登場人物たちの
心理的な揺れが臨場感あふれる描写で描かれていて、
重苦しい空気を一緒になって体験できてしまう作品です。
そして迎えるラストは、
それまでが茶番だったと思えるほどの衝撃を与えてくれることでしょう。
ぜひご堪能ください。
2作品目:#真相をお話しします/結城真一郎
私たちの日常に潜む小さな”歪み”、
あなたは見抜くことができるか。家庭教師の派遣サービス業に従事する大学生が、とある家族の異変に気がついて……(「惨者面談」)。不妊に悩む夫婦がようやく授かった我が子。しかしそこへ「あなたの精子提供によって生まれた子供です」と名乗る別の〈娘〉が現れたことから予想外の真実が明らかになる(「パンドラ」)。子供が4人しかいない島で、僕らはiPhoneを手に入れ「ゆーちゅーばー」になることにした。でも、ある事件を境に島のひとびとがやけによそよそしくなっていって……(「#拡散希望」)など、昨年「#拡散希望」が第74回日本推理作家協会賞を受賞。そして今年、第22回本格ミステリ大賞にノミネートされるなど、いま話題沸騰中の著者による、現代日本の〈いま〉とミステリの技巧が見事に融合した珠玉の5篇を収録。
Amazon商品紹介ページより引用
全5編からなる短編集となっていますが、
そのどれもがあっと驚く展開を携えています。
ただ、最初読んでいると、
なんとなく展開が読めてしまい
「こんなものかな」なんて思ったのも束の間…、
気付くとひっくり返って天を見ていることになるでしょう。
衝撃のどんでん返しの数々、ぜひ体験してみてください。
3作品目:宙ごはん/町田そのこ
この物語は、あなたの人生を支えてくれる
宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
Amazon商品紹介ページより引用
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。
全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。
主人公である宙と「お母さん」の花野の成長譚的な作品ですが、
それだけでは言い表せないくらい、
激動の人生が描かれています。
各章で感情を揺さぶられる出来事が起こり、
何度となく胸がギューッとなったり、
かと思えば、とても温かな気持ちになったりと、
感情の振れ幅の大きな作品でした。
どの話にも、登場人物たちの気持ちを救う料理たちが出てきますが、
どの料理も、すごく凝ったものではなく、
ともすれば誰でも作れちゃいそうなものというのが
またいいなと思っています。
ぜひ読んでみてください。
4作品目:君のクイズ/小川哲
生放送のTV番組『Q-1グランプリ』決勝戦に出場したクイズプレーヤーの三島玲央は、対戦相手・本庄絆が、まだ一文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たすという不可解な事態をいぶかしむ。いったい彼はなぜ、正答できたのか? 真相を解明しようと彼について調べ、決勝戦を1問ずつ振り返る三島はやがて、自らの記憶も掘り起こしていくことになり――。
Amazon商品紹介ページより引用
読めば、クイズプレーヤーの思考と世界がまるごと体験できる。人生のある瞬間が鮮やかによみがえる。そして読後、あなたの「知る」は更新される!
「不可能犯罪」を解く一気読み必至の卓抜したミステリーにして、エモーショナルなのに知的興奮に満ちた超エンターテインメント!
誰もが言葉を失った本庄絆の0文字回答。
その真相を探る対戦相手の三島玲央であったが、
決勝のVTRを見ていくうちに気付くのは、
まさに、「クイズは人生」というべきクイズの奥深さだった。
クイズプレーヤーではない我々からしたら、
ただただ、勉強がものすごくできる人、
あらゆるものに興味関心があって知識を得まくっている人、
みたいに思いがちなクイズの世界ですが、
実際はそんなこともなく、
様々な要素で成り立っていることが分かります。
そんなクイズの世界をぜひ味わってみてください。
5作品目:月の立つ林で/青山美智子
長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士、親から離れて早く自立したいと願う女子高生、仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩むアクセサリー作家――。
つまずいてばかりの日常の中、それぞれが耳にしたのはタケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』だった。
月に関する語りに心を寄せながら、彼ら自身も彼らの想いも満ち欠けを繰り返し、新しくてかけがえのない毎日を紡いでいく――。最後に仕掛けられた驚きの事実と
Amazon商品紹介ページより引用
読後に気づく見えない繋がりが胸を打つ、
心震える傑作小説。
各々悩みを抱える登場人物たちが耳にしたのは
「ツキない話」というポッドキャストだった。
そこで話される月にまつわる話、特に新月に関する話は
登場人物だけではなく、
読んでいる我々にも一歩踏み出す勇気を与えてくれる内容でした。
この作品を読んでからというもの、
月を見上げる機会が増えましたし、
月の見えない日であった新月の日に対する感じ方も
変わったように思います。
ぜひ、この作品を読んで月に思いを馳せてみてください。
6作品目:ラブカは静かに弓を持つ/安壇美緒
武器はチェロ。
潜入先は音楽教室。
傷を抱えた美しき潜入調査員の孤独な闘いが今、始まる。
『金木犀とメテオラ』で注目の新鋭が、想像を超えた感動へ読者を誘う、心震える“スパイ×音楽”小説!少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘。
Amazon商品紹介ページより引用
ある日、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。
目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。
橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始める。
師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り……
音楽×スパイという中々ない組み合わせの作品です。
スパイゆえにバレやしないかというハラハラ感と
音楽で繋がった仲間を裏切ってしまうことへの葛藤が
表現豊かに描かれています。
また、主人公の生い立ちも影響して、
音楽がもたらす安らぎや楽しさというのも描かれているので、
いろんな感情を体験できる作品となっています。
ぜひ読んでみてください。
7作品目:川のほとりに立つ者は/寺地はるな
カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。
Amazon商品紹介ページより引用
松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。
「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。
主人公の清瀬と恋人の松木は、
松木のとある隠し事が原因でうまくいっていなかった。
そんな中、松木が意識不明となり入院することになる。
清瀬はある時松木の日記を見つける。
そこにはとある秘密について書かれていて…。
この話を通して思うことは、
人は自分の見聞きしたことでしか判断できないんだな
ということです。
松木の秘密に関して言えば、
その裏を察して受け入れてあげなさいなんて言っても難しいでしょうし、
松木側からしても、恋人だから全てを打ち明けないといけないわけではありませんし、
言えないのには言えないなりの理由もあるわけです。
ただ、このまま各々の主張を通し続けていたのでは平行線のままということで、
対話していくことが重要なんだなと考えるに至りました。
お互いが受け止められるところを探っていき、
心地よい妥協点を見つけていくことの大切さに気付くことのできた作品です。
また、先に挙げた松木の秘密も
このことに思い至った要素の一つにすぎず、
この作品の中で多くのテーマが散りばめられています。
感じることが多く読書中のメモ書きが一番多くなった作品でもあります。
ぜひ読んでみてください。
8作品目:汝、星のごとく/凪良ゆう
ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。
風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。
Amazon商品紹介ページより引用
「月に一度、私の夫は恋人に会いにいく。」
こんな書き出しで始まる物語です。
そして、プロローグとエピローグが同じ場面を描いているのですが、
本編を読み切ると、
受ける印象がガラッと変わってくるという点が
この作品のすごいところだなと思います。
この作品は、
井上暁海と青埜櫂という2人の男女の視点で描かれていますが、
親のゴタゴタに振り回され切り捨てることもできず、
一緒に沈んでいってしまいそうになる様や
社会の目に潰されていく様が描かれており、
しんどさが先に立つ作品かなと思います。
ただ、その過程で
「自分の人生を自分の意思で生きる」ことに向き合い、
人生を切り開いていこうとする姿には、
一転して勇気づけられもしました。
ラストに向かう展開には涙が止まりませんでした。
9作品目:爆弾/呉勝浩
東京、炎上。正義は、守れるのか。
些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。
Amazon商品紹介ページより引用
たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。
「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。
警察は爆発を止めることができるのか。
爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。
傷害で捕まった「スズキタゴサク」。
取り調べの最中、霊感で予言ができるといった彼が話し始めたのは、
爆破予告だった…。
そこから始まる息詰まる心理戦。
果たして警察は爆破を止めることができるのか…?
まさにイヤミスという内容で
心理戦以上に
「スズキタゴサク」という男の話術に弄ばれ
彼と関わった警察官が漏れなく
自身の心の闇をさらけ出され、ダメージを負っていく様は
見ていてしんどいものがありました。
我々読者の頭にも入り込んでくるような印象的な悪の存在…。
ぜひ味わってみてください。
10作品目:光のとこにいてね/一穂ミチ
――ほんの数回会った彼女が、人生の全部だった――
古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。
彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。
どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。――二人が出会った、たった一つの運命
Amazon商品紹介ページより引用
切なくも美しい、四半世紀の物語――
結珠(ゆず)と果遠(かのん)という2人の女性の物語。
それぞれの視点で交互に展開されているので、
テンポよく読み進めることができます。
四半世紀の物語とありますが、
この2人が関わったのは合わせても1年行くか行かないか程度。
それだけ濃密なやり取りが描かれています。
2度の別れを経て再会した2人…。
大人になり結婚もしていても常に意識の先にはお互いがいる。
そんな2人が選ぶ道には、光が射すのか…?
正反対ゆえに強く引き寄せられた2人の人生をご堪能ください。
キザメが選ぶ本屋大賞2023!!
どの作品も面白く、
正直なところ順位付けするのが心苦しかったのですが、
覚悟を決めて選ばせていただきました。
発表します!
キザメが選ぶ本屋大賞は…
『月の立つ林で』(青山美智子)
です。
大賞に選んだ理由としては、
「月」や「ポッドキャスト」という身近なものがキーとなっていて、
『ツキない話』で語られる月の話というのは、
身近故に自分の中にも落とし込みやすく、
気持ちが前向きになることができました。
物語の内容としても、
5編の短編で構成されていますが、
各話の登場人物が次へ次へと
いい影響を与え合っていて、
『ツキない話』をきっかけに前向きに進めた一歩が
大きな輪となって繋がっていく様子がとてもステキで、
読んでいて温かい気持ちになれました。
これは、誰にでも進めたくなる作品だと思いました。
なお、TOP3は以下の通りです。
第1位:月の立つ林で/青山美智子
第2位:宙ごはん/町田そのこ
第3位:方舟/夕木春央
キザメの本屋大賞はご覧の通りとなりましたが、
みなさんの本屋大賞はどの作品でしたでしょうか?
ぜひ教えてください♪
終わりに
ここまで、
本屋大賞ノミネート作品の紹介と
キザメが選ぶ本屋大賞の発表を行ってきました。
この企画をやったことで、
ミステリー以外の作品も読めましたし、
初めての作家さんにもたくさん触れることができました。
今回読んだ作家さんたちのこれ以前の作品も
次に出る作品も読んでみたくなったので、
少しずつ手を付けていきたいなと思っています。
そして、積読山がまた高くなり、
裾野を広げることになりそうです(苦笑)
以前よりも、
コンスタントに小説を読む習慣づけはできたかなと思うので、
読了ペースが上がるといいなと思っています。
気は早いですが、
来年もこの企画はやりたいなと考えていますが、
できれば、ノミネート作品を
数冊は読んでいる状態で迎えたいなと思っているので、
Twitterなどでみなさんからの情報を得て、
積読の消化もしつつ、
新刊にも手を出していきたいなと思っていますので
楽しみにしていてください。
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